生活用水の備蓄は1人3日分で何L?トイレの扱いで60Lか240L
厚労省指針の20L/人・日とTOTO公表の断水時手順(バケツで1回9〜12L)から、1人3日分の生活用水を2通りで計算しました。トイレも水で流すなら195〜240L、携帯トイレに替えるなら60Lです。
答え 1人3日分・携帯トイレ併用 3 本 20Lタンク換算
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断水時に要るのは飲み水だけではありません。ところが必要量を調べると10L・20L・60Lと数字が割れ、何本買えばいいのか決まりません。
割れる理由はほぼ1点、トイレを水で流す前提かどうかです。以下はすべて公表値の四則演算で、当サイトは商品を試していません。
20L/人・日 × 3日 ÷ 20L
3本
厚生労働省「水道の耐震化計画等策定指針」の20L/人・日で計算。トイレは携帯トイレに置き換えた場合。
結論から:排水管の無事を確認できないならB案
- A案(トイレも水で流す) — 1人3日分で195〜240L。20Lタンク10〜12本、約195〜240kg。下水道と排水管の無事が前提です。
- B案(トイレは携帯トイレ) — 1人3日分で60L。20Lタンク3本と携帯トイレ15回分。
分かれ目は水の量ではなく、流していい状態かを自分で確認できるかです。東京都下水道局は、配管が破損していると「汚水が逆流したり、破損したところから噴出することがあります」、集合住宅では「下の階のお宅へ汚水が逆流する場合があります」と説明しています。判断できないならB案が安全側です。
「生活用水20L」に飲料水は含まれるのか
含まれます。
厚労省指針は「飲料・洗面等で20L」「トイレを見込むなら30L」
厚生労働省健康局水道課「水道の耐震化計画等策定指針」(平成27年6月)の表3は、地震後7日の目標を20〜30L/人・日とし、注*3でこう説明します。
20Lは飲料を含む内数で、トイレ分は入っていません。内閣官房・国土交通省「災害時地下水利用ガイドライン」(令和7年3月)が引く熊本市地域防災計画も同じで、10日目までの20L/人・日の用途は「飲料水+炊事等」です。
家庭向けの案内では別立ての例もある
東大阪市上下水道局は飲料水を7日分以上と案内したうえで、別項目に「生活用水(1人1日20から60リットル)の必要性もましています」と書いています。
よく見る「飲料水3Lとは別に生活用水10〜20L」という足し算は、上の2つの公的文書からは出てきません。 本記事も内数として扱います。飲み水の本数は一人暮らしの備蓄水は2Lで何本必要かで計算しています。
断水時にバケツで流すと、1回9〜12L
量が跳ね上がるのはトイレです。TOTOが公表する断水時の手順はこうです。
合計すると1回あたり9〜12Lです。同ページには「タンクへ直接水を入れることは避けてください」との注記もあります。TOTOも「ご使用中のトイレの種類によって、多少必要な水量が変わります」としています。
節水便器の「大3.8〜4.8L」は断水時には使えない
TOTOの洗浄水量一覧では、ネオレストNXの標準が大3.8L・小3.0L、GGやピュアレストが大4.8L・小3.6Lです。ただしこれはタンクの水勢を前提にした数値で、バケツで流す場合は同社自身が9〜12Lの手順を示しています。節水便器だから4.8Lで済む、とは計算できません。 大4.8Lで1日5回なら24L/日、バケツ洗浄なら9〜12L×5回で45〜60L/日。1.9〜2.5倍の開きです。
国の30L/人・日は、トイレ1〜2回分しか見込んでいない
指針の30Lに含まれるトイレ分は10L、回数にして「1〜2回/人・日程度」です。一方、内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」は「トイレの平均的な使用回数は、1日5回」とします。
矛盾ではありません。指針は残りを「風呂の貯めおき水や河川水等水道以外で確保する」としています。30Lは水道からの供給目標で、家庭が備える総量ではありません。「トイレも全部まかなえる量」と引用すると、3〜4回分が消えます。
1人3日分を、2通りで積み上げる
原典の単価を掛けます。飲料・洗面等20L/人・日(厚労省)、トイレ5回/日(内閣府)、手動洗浄9〜12L/回(TOTO)。
| プラン | 3日分の水量 | 20Lタンク |
|---|---|---|
| A・水で流す(9L/回) | 195L | 10本 |
| A・水で流す(12L/回) | 240L | 12本 |
| B・携帯トイレ | 60L | 3本 |
帯は20Lタンクの本数(最大12本を1とした比率)。A案の内訳は飲料・洗面等60L+トイレ135〜180L、B案は60Lのみ。4人家族ならA案780〜960L(39〜48本)、B案240L(12本)+携帯トイレ60回分。生活用水の備蓄は「全部ためる」問題ではなく、「どこを水以外に置き換えるか」の問題になります。
携帯トイレの必要数は、神奈川県の計算式「5回×家族の人数×最低3日分」で出ます。1人3日分なら15回分、4人3日分なら60回分。市販の50回分セット1つでは4人3日分に10回足りません。回数単価や保存年数の差は簡易トイレを公表値で比較した記事に整理しました。
浴槽の残り湯180Lは、トイレ15〜20回分
「風呂に水を張っておけば安心」の射程も割り算で出ます。東京都水道局は残り湯を「一般家庭では、約180リットル」と公表しています(LIXILのユニットバスは1600サイズで満水260〜322L、70%水位157〜201L)。
180L ÷ 9〜12L/回 = 15〜20回。1人5回/日なら3〜4日分、4人家族(20回/日)では1日分に届きません。
20Lタンクは保管の単位で、運搬の単位ではない
表の「10本」「12本」は家に置く量です。東京都水道局は給水拠点で「3リットルを目安として給水します」とし、「3リットル(3㎏)の水は重いので」背負える給水袋やリュックを勧めています。東大阪市は「持ち運び用容器は、10リットル程度の大きさで2個が適当」としています。
20Lタンクは満水で約20kg。満水で運ぶ前提の公的な案内は見つかりませんでした。保管は大容量、運搬は小分けで考えてください。
よくある誤解と注意点
汲み置きの「3日」は飲料用の期間
東京都水道局は汲み置き水を「直射日光を避ければ3日程度は飲料用として使用することができます」、所沢市は冷暗所でも約7日で交換としています。ただしこれは飲料用の期間で、「生活用水なら何日もつ」を示した公的な案内は確認できませんでした。浴槽の水も同様です。
用途別の細かい内訳は公表されていない
厚労省指針が示すのは「飲料・洗面等20L」「トイレ1〜2回分+10L」の2区分までで、手洗い◯L・歯みがき◯Lという分解は載っていません。東京都水道局の「1分間流しっぱなしで約12L」は節水啓発の値で、断水時に貯めて使う量ではありません。
携帯トイレの使用に水は要らない
碧南市が公開する手順は、便器の損傷確認 → ビニール袋 → 汚物処理袋 → 凝固剤 → 口を縛る → 保管袋へ、で、水を使う工程はありません。B案のトイレ分が0Lになる根拠です。備蓄数は簡易トイレは何回分必要かの記事にまとめました。凝固剤の消臭・抗菌効果は製品ごとの表示によるため一般化しません。
まとめ
- 公的文書の20L/人・日は飲料を含む内数。飲料3Lに20Lを足す計算は原典から出てこない
- 断水時のトイレはTOTO公表手順で1回9〜12L。節水便器の3.8〜4.8Lは適用できない
- 1人3日分は、水で流すなら195〜240L(10〜12本)、携帯トイレなら60L(3本)+15回分
- 浴槽の残り湯180Lはトイレ15〜20回分。4人家族では1日ももたない
- 20Lタンクは保管の単位。運搬は10L×2個や背負える給水袋で分ける
数値は各機関・メーカーの公表時点の値です。計画前に各公式サイトでご確認ください。
参考にした情報源
全15件のうち10件 が公的機関の公開資料です。
- 水道の耐震化計画等策定指針(平成27年6月)表3・p.21 | 厚生労働省健康局水道課
- 災害時地下水利用ガイドライン(令和7年3月)表3-1・p.14 | 内閣官房水循環政策本部事務局/国土交通省水資源部
- 避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(令和6年12月改定) | 内閣府(防災担当)
- 断水/給水制限|タンクにレバーハンドルがついているタイプ | TOTO株式会社
- 断水/給水制限|レバーハンドルがついていないタイプ | TOTO株式会社
- 便器の洗浄水量変更|修理施工ナビ COM-ET | TOTO株式会社
- 水の上手な使い方|水道のご使用について | 東京都水道局
- 災害時に水を配る場所〜災害時給水ステーション〜 | 東京都水道局
- ご家庭での備え|災害への備え(2025年2月13日更新) | 東京都水道局
- 災害時のトイレ対策について(2024年9月27日更新) | 東京都下水道局
- 水道水の備蓄について(2026年4月21日更新) | 東大阪市上下水道局
- 携帯トイレを備蓄しましょう(2026年6月15日更新) | 神奈川県
- 自宅でできる携帯トイレの使い方 | 碧南市
- 「アライズ」WEB取扱説明書|浴槽の容量について | 株式会社LIXIL
- 水道水の保存期間(くみ置きによる保存期間)は、どのぐらいでしょうか。 | 所沢市